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(社)土木学会関西支部 2003
 第1回FCCサロン
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CPDプログラム

「食と土木 〜 農建融合のすすめ」

●日 時:平成15年6月27日(金)18:30〜20:10

●会 場:大阪府立女性総合センター(ドーンセンター)5階セミナー室(1)

●話題提供者:建山 和由 
        (京都大学 大学院 工学研究科 都市社会工学専攻 助教授)

●コーディネーター:同上

 
 昭和40年に73%あった日本の食糧自給率は,今では40%を切るまでに落ち込んでしまいました.激動する現在の国際情勢において,極端に低い食糧自給能力は国民生活の安全を保証する上でも,また人口増加で食糧危機が危惧される世界情勢のもとでは国際的な役割分担の意味からも改善すべき最重要課題といえます.今回は,農業と建設分野を融合することにより日本の食糧自体制の大幅な改善を目指し得ることを紹介し,食料自給における土木の新たな役割と社会へのインパクトを考えました.

1.話題提供の概要
 話題提供では,下記の内容が国際情勢と農業を取り巻く環境の分析結果に基づき,説明されました.

(1) 改善すべき日本の食糧自給体制

 現在の日本の食糧自給体制と世界の政治や社会動向を分析すると,先進国の中でも極端に低い日本の食糧自給率では,激動する世界情勢の中,安全な国民生活を保証し得ないという現実が見えてきます.また,世界人口の増加で近い将来食糧危機が押し寄せることが危惧されている今日,国際社会の一員として食糧生産を放棄して,食料を購入し続けるという姿勢が許されなくなる日が将来,来るかもしれません.さらに,現在,輸入に頼っている多種多様な食料の安全性が年々低下しており,国民の健康に大きな影響を及ぼす可能性も危惧されています.国内における安全な食の自給体制の確立は日本における最重要課題といえます.

(2) 農建融合のすすめ
 現在までの国内農業の動向と将来予想を鑑みると,現在の体制では,食料生産の改善を望むことはできません.ここで,建設業と農業の融合による食料自給体制の大幅な改善策を提案します.
 建設業の農業へのシフトは,公共事業の低迷から,既に一部の地方で始まっていますが,単に労働力の投入だけでは,現在の農業の枠組みを変えることを期待することはできません.ここでは,近年,農業分野で研究開発が進められている精密農業と建設業の情報化施工技術の融合を図ることを進めます.精密農業とは,もともと,土壌や気候,作物,その他に関する多様で詳細な情報を一元的に管理することにより,農薬,肥料や労力の最小限の投入で所定の集荷を得ようとする新しい農業で,21世紀の農業として期待されています.この技術を建設業で長年培われてきた情報化施工の枠組みと融合させることにより,これまで農家の経験と知識に頼っていた農業を先端技術として発展させることができます.同時に,建設業の農業におけるノウハウの不足を補う効果も期待されます.さらに,建設業の有する組織力や資材・労働力・資金・情報のマネジメント力等を農業生産だけではなく安全な食料の流通と供給の中で活かすことにより,日本の農業は新しい産業に生まれ変わり得るポテンシャルを持っています.

(3) 農建融合に向けて取り組むべき課題と展望
 実際に農建融合を進めるには,克服すべき多くの課題があります.日本におけるこれまでの農業政策との関係,既存の農業へのインパクト,限られた農耕地,国際関係への影響,企業の収益性等は避けて通れない検討課題です.逆に,「安全な食の自給体制の確立」という視点に立てば,社会における様々な展開を考えることができます.例えば,高速道路や鉄道,空港といったインフラは,新鮮な食料を速やかに配送するという目的からそのあり方が,見直されるべきでしょう.また,農業を主体に考えると地方の活性化や高齢社会のあり方では様々な可能性を見つけることができ,国際貢献も地域にあった食料生産技術をベースに置けば,新たな貢献が期待されます.
 今後,農建融合を進めるには,安全な食の自給体制の確立に対する社会的コンセンサスの形成を図ると共に,先に述べたような様々な課題と展望について多様な切り口から検討するとともに具体例の試行等を進めていく必要があります.


■2.ディスカッション
 話題提供に引き続き,フロアとの意見交換が行われました.ここでは,建設業が企業として農業に参入していった場合の収益性,既往の農業行政との関係,農業だけではなく水産業へ進出の可能性,日本人の食生活と食料自給の関係をはじめ,さまざまな切り口で活発な意見交換が行われました.

 


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