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授業例と報告02

2002年5月 姫路市立広畑第二小学校  3年生、4年生各1学級

■教材  [02]「いろは呑龍トンネル」 桂川右岸流域下水道雨水対策事業

■授業設定の方向

 4年生の児童は、社会科学習の中で住みやすい町にするために活躍している人々(消防士、警察官等)の仕事について学んでいる最中である。
  「災害」には様々なものがあることは知っているが、それを防ぐ施設については普段    目にする機会が少ないせいもあって、ほとんど知らないのが現状である。特に、今回紹介するような地下のトンネルの存在は知っていない。
 そこで、校内で「避難訓練」の行事を持つ日に授業を設定し、『防災』の面をクローズアップして、「災害」とそれを防ぐ施設について考える。


■授業のねらい

  町を水害の被害から救ったトンネルの存在を知り、見えない地下に建設される過程とそれに伴う苦労を知る。

■授業の流れ

 事前に水害を防ぐ手だて、トンネルを掘る方法についての認識の程度をアンケート調査しておき、意見交換を行う。ビデオを見てからの感想と比較すると同時に、工事の苦労について考える。最後に、新たに知ったことを自分の表現でPRしてみる。
 (3年生は「PR作戦」の代わりに、「トンネルを造ったおじさんへ」手紙を書いてみた。)

@水害について考える。
      ・どんな所に、どんな時に水害は起こるのかな?
      ・水害はどうしたら防げるのかな?
Aトンネルについて考える
      ・トンネルはどうやって掘るのかな?
      ・どれくらいの大きさなのかな?

ビデオを見る


@トンネルの掘り方や大きさについて感想を述べる。
Aトンネルを造ることの苦労について考える。


家の人にPRするミニパンフレットを書く。    4年生

トンネルを造ったおじさんへ手紙を書く。      3年生

■授業の成果と課題

授業として
・日頃の授業と全く異なる内容、手法であったため、児童たちは非常に興味を持った様子であった。
・ 「考える」「新たに知る」「説明する」ことを学習できた。
・ 子供たちは正義の味方が大好きである。「工事により困っている人達を救った。」とか、「工事によりみんなが喜んだ。」ことが受け入れやすいようである。
・ビデオの難解な説明部分では、ほとんどの児童が「???」で興味が薄れた。

☆ビデオの内容について
・キャラクターのアニメ(「どんりゅう君」)がナビゲートしており、児童達はとても喜んだ。最初からビデオに興味を持てたようだ。
・ 機械の大きさ、工事規模の大きさはよくわかり、驚きだったようだ。
・ 説明の中で専門用語が多い場面があった。小学生では理解できない単語が多い。
 「掘削、残土、土砂、泥水、地盤改良、セグメント、立坑、発進、等」
   ・ミーティングや朝礼の様子のシーンは、もっと簡潔な方がよかった。
・ 説明の中で図解またはアニメーションを使ってほしい。
 シールドマシンが掘っていく様子がわかりにくい。
 泥水の処理方法がわかりにくい。
・ 水害の様子は静止画よりも動画にした方がわかりやすい。洪水の実感がつかみにくい。そもそも、「洪水」とは何かを子供達は十分に理解していない。動画により視覚に訴えて理解を助ける必要がある。
・ 水害が起こる原因の図解が最初にあった方がよい。
・ トンネルの必要性を強調するためにも、市民の声がほしい。
      水害に困っていたときのこと
      工事を見たときのこと
      トンネルが完成してからのこと  等

☆小学校の総合学習にどう取り入れていくか?

●防災教育として
「これからの総合は防災から」とも言われている。
今回も、避難訓練の事前指導として災害と町を守る防災についての学習の一環として取り上げた。
テーマとしては、今後も同様のビデオの使用は可能かと考えられる。
● 職業、労働の教育として
「仕事に携わった人の苦労や喜び、仕事に対する誇り」や「無事故で完成させるための工夫、努力」を掘り起こす授業として活用できる。
● 教材としてのビデオ
・ ビデオが誰に焦点を当てて作ってあるのか?
『市民PR用? 企業宣伝用? 小学生対象の「総合的な学習」の教材?』
総合学習で使用するには、そのままではちょっと厳しい面がある。
専門用語が多く、難しい。説明がくどく、理解しにくい。
・教材としての利用は可能と考える。しかし、一般的にはそのまま使用できるような内容と時間(15分程度まで)であった方がベターと思う。

■ 授業前アンケート調査                  −4年生−


1.こわい水害をふせぐために、どんな方法があると思いますか。
   ・川の周りにレンガをたてる。
   ・コンクリートでだんを高くする。コンクリートのかべを川の横につむ。
   ・10mくらい上までじょうぶな物をつみあげる。
   ・木を植える。木を切らない。
   ・川の底にあなをほって、海にながす。
   ・川の深さを大きく(深く)する。
   ・川のまわりにコンクリートをはる。
   ・家を海のほうにたてない。


2.@トンネルは、どんな所にありますか。
    ・山の中、山の下、高い山
    ・こうそく道路
    ・線路、電車
    ・地下(地下鉄)
    ・海の中


  Aトンネルは、どんな機械で、どうやってほると思いますか。
    ・ブルドーザーでほる。
    ・ショベルカーでまわりをほる。
    ・ドリルでほる。
    ・ショベルカーで山をくりぬくようにほる。
    ・機械の先がネジ先のようになっていて、その部分で掘り進む。
    ・ブルドーザーやショベルカーを何台もよぶ。
    ・ドリルでほって、コンクリートばんをはる。
    ・こんな機械(右図)でグリグリとほる。
    ・大きなスコップ10こ。
    ・クレーンでほったり、ドリルでする。
    ・100人でドリルでほったり、100人でスコップを持ってほる。
    ・50000人くらいでシャベルで掘る。

児童の感想

『トンネルを作ったおじさんへ』 (抜粋)   −3年生−

○高さ8mものきかいで、ほっているとは思わなかったです。とっても、すごいなと思いました。私はこうそく道路とかのトンネルしか見たことがないので、びっくりしました。地下にあるなんて夢にも思っていませんでした。トンネルを作るのって、とってもとってもたいへんなおしごとですね。
 どうろの下をほって、どうろがくずれないで、1人もけがをしなくってとっても、とってもすごいですね。とっても、かんしんしました。あまり、トンネルを掘ったところを見たことがないので、びっくりしました。


○前にシールドマシンのことを学んだことがあります。
 ある日、電車はく物館にいって、地下鉄の道はどうやって造るのか知りました。それもシールドマシンでした。おじさん達も地下鉄の道を造っているんですか。
おじさん達の組み立てたシールドマシンも、科学の発達ですか?すごいです。


○シールドマシンは人間の6倍くらいあるのがすごいですね。「地下」でトンネルをつくると、そんなことに役立つということが分かりました。「りゅう」もかわいかったよ。


○地下のトンネルがすごく長かったのでびっくりしました。わたしはそんなものが作れるんだなあと思いました。ぶひんの名前がぜんぜんわかりませんでした。あのビデオがまた見たいです。すごくおもしろかったです。トンネルをつくったおじさん達に1回会ってみたいです。わからなかったところをわかりやすいようにおしえてほしいです。

○「シールドマシン」についている「カッターヘッド」でトンネルをほっていくとこがすごかったです。こう水をふせぐために、地下にトンネルを4年もかけて作るなんてかっこいいです。こう水になっても、そのトンネルでこう水をふせいでください。


○地下にトンネルを作るなんてすごいなと思ったよ。シールドマシンはとってもすごいマシーンなんだね。ちょっとむずかしかったけど、とてもべんきょうになったよ。こうやっておじさん達はいろいろな町をすくうのかな?
 すごいこうじをして、すごいやりかたをして、とってもすごいなと思いました。


○いっぱい大人の男子の人が作っているのに、4年もかかるんだね。1日に5メートルしか掘れないなんてわからなかったです。かっこいいね。わたしは、4年もかかったら作るのをあきらめるのにね。

○ほんとうに、カッターヘッドはでかいね。あんなのだれが作ったんだろうね。みんな、ほんとうにすごいね。

○ちょっとむずかしいところもあったよ。あんなでっかいきかい、はじめてみたよ。
すごいよ、おっちゃん。

○カッターヘッドが、めっちゃでかくてすごかったよ。1日に5mしかほらないのは、早くほったら上の道がくずれるから、ゆっくりほっていたのがわかったよ。

○2かいだての家がはいるときいて、おどろきました。おじさんはいっぱいの仕事をしてえらいんだなと思いました。

○シールドマシンて大きくて、ちょっとこわいね。マシーンてそうさはかんたんなのかな?
 地下にトンネルを作ってこう水をふせぐことができるなんて、はじめてわかりました。

○でも、コンピューターでうごくのに、あんないっぱいの人がどうしているのですか。

○地下にトンネルを作ってすごいと思いました。でも、どうやってほったのかわかりませんでした。


○1日に5m〜7mくらいの理由は、上に道があるからだよね。さいしょは1kmくらいで1日だと思ったけど、1日に5〜7mだからかなりびっくりしました。ちょっといみがむずかしいことがありました。


○はじめてわかったのは、トンネル作りです。2かいだてくらいのカッターヘッドは、とってもすごかったです。もうちょっとくわしく教えてくれたらいいなあー、とおもいました。


○ トンネルをつくるとき、むずかしかったでしょう。シールドマシーンを作るとき、むずかしかったでしょう。しごと、がんばってね。トンネルをつくるときって、こんなふうにつくっていたんだね。すごいと思いました。
今後の展望

 学校側としても総合的な学習の進め方について試行錯誤中であり、各学校・各学年ごとのテーマを選択している状況です。
今回の工事記録ビデオと同様に、他の企業や団体からもビデオの貸出等の申し入れが来ており、内容によっては利用する機会は多くなると思います。
今まで建設関係の学習はほとんどなく、どのように造られるのかを児童達は知る機会が無いのが実状だと思います。今回のトンネル工事は「防災」に関連づけてみましたが、その他に「環境関連」のものは受け入れられやすいと思います。また、対象地域が限られるかもしれませんが、「地域性」からの利用の方法もあるかと思います。


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